こんにちは。石屋のけんすけこと清水健介です。台風がいくつも来る前までは涼しく、あれ?もう秋か??なんて思っていたのですが台風が去ってみたらやっぱり暑くなってしまいましたね。この一週間は暑そうです。熱中症にはおきをつけて!
今日はお墓のトラブル相談の話。
石屋さんってのは墓石の話もそうなのですが、色々な相談がよせられてきます。実話をちょっとアレンジしていますが色々と困っている方へ少しでも参考になればいいと思います。ちょっと難しい話かもしれないですがいってみましょう~。
お墓をじいちゃんが一族みんなのためにと建ててくれた。
はい。こんなハートフルな言葉からなのですが問題は深くなっていくんです…。そんなある一家の話。
先日父が亡くなった。じいちゃんが昔、みんなが入れるようにって僕らにお墓を作ってくれていたんだ。でもそれがこんなことになるなんて…。あぁそうか。この話にいく前に僕と家族の紹介をしておかないとね。
- じいちゃん すでに他界 釣りが趣味だった
- ばあちゃん すでに他界 いつもニコニコしていた
- 父 一人っ子で先週他界してしまった。東京生まれ東京育ちだった。
- 母 10年前に他界 福岡出身で東京へ嫁いできた。
- 一男 妻と2人の子持ち
- 二男 主人公の僕です。独身 サラリーマン
- 三男 妻と三人の子持ち
- 四男 大学生
僕は二男(フタオ)変な名前だろ?父親は良い人だったけど、名前つけるのは適当だったんだ。まぁそんなことはいいとして父は東京生まれの東京育ちで江戸っ子って自分のことをよく言っていたな。
じいちゃんとばあちゃんが亡くなった時に父親はお墓の話しをしてくれたんだ。
お前達のおじいちゃんは汚くなっちゃった墓をみんなで入れる綺麗なところにしたいって言ってお墓つくり直したんだぞ。お前達4人兄弟もいつか家族をもったらここに皆入るんだよ。
そんなことを言っていたのを今でも覚えている。そして母が病気で亡くなって、男一人で4人兄弟を支えてくれた父が先週亡くなったんだ。
じいちゃんが昔よく釣りに行っていた川の近くのお寺にお墓はあるんだけど、葬儀などの打ち合わせがお坊さんと終わって一息ついたところでお坊さんからこんなことを言われたんだ。
これからお墓をやっていく人は誰ですか?
僕ら 「誰って?皆でやっていきます。」
お坊さん 「これからお墓を管理する承継者の話です。」
僕ら 「あーあ。なるほどお墓も家と同じで承継者が必要なんですね。葬儀の喪主を一男兄さんがやったから一男兄さんでいいんじゃないかな?」
一同同意
お坊さん 「ところで他の御兄弟さんのお墓はどうされますか??」
一同不思議そうに???
僕ら 「おじいさんの代の時にお墓を建てなおして、皆が入れるようにしたと聞いています。ですので兄弟家族ともに一緒に入ろうと思っています」
お坊さん 「困りましたね…。当寺院では分家さんには個別でお墓をもっていただく慣習となっているんです。」
僕ら 「父親からも聞いているのですが、おじいさんの代の時にお寺さんと話しをつけたとも言っておりました。」
お坊さん 「御存知かと思いますが、私の以前の住職は結婚もしていなく数年前に他界しまして、私が新たに住職として務めさせていただいています。そのような内容を伝え聞いていないのです。」
さてさて弱りましたね。実はこのような話は最近よくあるお墓の問題なんです。
どのような解決方法があるのでしょうか。
上記の例ではお寺さんは兄弟みんなお墓を持たなければいけないと話しているのですが実際のところどうなのでしょうか。まずはお寺さんではない都立霊園を例にとって考えてみましょう。
都立霊園の規約では納骨することができる遺骨は、原則として使用者の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)の遺骨です。使用者の親族でない方の遺骨を納骨しようとするときは、別に「確認書」等を提出していただきます。詳しくはお使いの都立霊園窓口にお問い合わせくださいと規約に載っています。
ちょっと難しいですかね。6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族ということを図で表してみるとこのようになります。
意外にも埋葬できる人は多いような気がしますね。また都立霊園は例外的に墓所使用者が認めれば血のつながりのない“友人”でも埋葬できることができるのです。
一方お寺さんでは。
それぞれのお寺には、それぞれのお寺の教義に則った法式によって儀式典礼を行う権利(典礼権)があることが裁判で判例として出ています。寺院墓地はその寺院の構成員である檀家が、その属する宗派の儀式を経て納骨し、その後の法要を行う前提条件で使用を許諾されているのです。
つまりそこのお寺さんのルールでは分家さんのすべての方にお墓を建ててもらっていますということ。その寺院墓地の使用権を取得するときにそれはすでに納得済みということも含まれている。
であるとすれば上記例で一男は父からゆずり受けた墓地があるのでいいですが、他の3人は独自に墓地を持たなければいけないこととなります。
その際に地域の一般的慣習というものが大きな意味をもつと思います。
例の話でもでてきましたが、父親、祖父共に東京暮らしが長いとのことです。父親はともかくとして、祖父はその地域の慣習を知っていた可能性が高いです。先代の住職と取り決めをしていたようですが、書面等は一切残されていなく証明もできません。一方で寺院サイドも墓地使用規定にはこのようなことに関する規定が載っておらず両者共に決定打に欠けます。
実際のところどうなるのか
僕が今までに見てきた色々な例ですが、お寺さんと話し合いの上ケースバイケースになります。
- ある檀家さんはこの条件を不服と思い離壇された方もいらっしゃいます。当然、墓所解体、新規墓地購入(散骨を含む)などの多大な金額がかかっています。
- 一方でこのような問題になることが想定されていたのでおじいさんの代に孫の分の墓地も購入していたということもあります。(相続税対策の一環として。墓地は相続税の対象外)
- 結婚し家族ができると今までの考えとは少し方向を変え、家族のお墓を独自に求めることになったこともあります。
先ほど出てきた典礼権ですが、墓地使用規約が不当なものでこの権利を認めなかったケースもあります。本当にガチガチに裁判で争った場合はお寺さんに規約・約款がない場合、寺院側が裁判で負けてしまう可能性が高い。ですが、納骨するところお墓があるところは寺院さんです。そのように裁判で争った場合には関係悪化は必至で居心地のいいものではありませんよね。
一方で一族墓が認められた場合でもお施主さんにも問題が残されます。一族墓が承認されたとして東京では骨がめでの納骨となりますのでカロート(納骨室)の容量がそれだけあるのかが重要です。
結論としてはある時期にきたらこの関係をはっきりさせるためにお寺さん側とお話合いをもったほうがいいという事だとおもいます。
まとめ
今回の場合、まずは事実関係の把握から始めたほうがいいと思います。規約書などはあるのか。覚書等は存在するのかなどです。それが済み次第お寺さんとの話し合いになっていきます。
その後一族墓を検討できるのであれば、カロート(納骨室)の容量を石材店に確認してもらう。容量的に難しい場合はカロートの拡張工事を検討する。
寺院さんとの話し合いが不調に終わった場合はお墓の引っ越し先を考える。
いずれにせよ金銭的問題が最後に残るものと思います。ですので現時点でこのようなことがおこりうる可能性があるとお考えであれば早めの相談をして解決の方法を探したほうがよろしいかと思います。
それではまた!
この記事を書いた人
- 創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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