今日は晴れててすがすがしい~と思っていたところ、外に出るとビュービューの風で洗濯物を外に干すにはちょっと厳しいかな~と思っている石屋のけんすけこと清水健介です。こんにちわ!
7月は東京でのお盆ですので、お墓をそれまでに直したい、作りたいという要望が5、6月には多くあります。そんな案件の中,僕を悩ますのが…
大谷石
そう。ご覧の写真の大谷石なんです。まずはこのお墓の外柵・囲障の写真を見てください。
うーん…。羽目※がこなごなだ…。誰かがイタズラしたわけじゃないですよ。自然に風化してしまっているんです。縦、横、真っ二つに割れる場合もあり。※お墓のパーツについては様々な名前があるのですがこのような図を作ってみたので参考になればと思います。
大谷石は文字通り、栃木県の大谷というところで取れます。東京からだと採掘地から近いので古くからその加工のしやすさもあり多くの墓所の外柵材として使われてきました。耐火性もあるので家屋の外塀にも本当に多く使われていました。ですが、2011年の震災時には東京でも多くの大谷石の塀が倒れたのです。風化しやすいし耐久性もそこまで高くない。家だと住むということと直結するので危険性の観点から直すことが早急におこなわれました。
一方で大谷石で外柵を作ったお墓は…。住んでいるわけでは当然ありませんよね。ですので早急には直さず風化が進んでいる状態が結構あります。毎回お墓参り行ってらっしゃる方はやはり気になるみたいでこの羽目だけ綺麗にしてくださいというご要望が少なからずあるのです。
それって根本的な原因解決になっていないんですよ。
お施主さんの期待している回答と違っているのだと思うのですが、ご説明させていただきます。ポイント整理していきますね。この時点で自分の思っている回答と違うのでお施主さんの中には耳をふさいでしまう方も多いです。でも清水屋だけじゃなくて、こういうアドバイスをちゃんとしてくれる石材店はいい石材店だと思いますよ。
- お墓を継ぐ方がいらっしゃるのか?
- お骨の数は?
- これからお墓に入る人の数を計算してみる。
羽目の話から外れているように思いますが結局羽目だけ直すのは何のためでしょうか?
見栄えにしか目がいっていないのであれば危険信号!
大谷石の風化の状態から見て、羽目以外にもお墓の破損、風化が進んでいる場合が容易に想像できます。この場合、一部修繕をしても他の部分の風化は当然進みます。腰石などから崩れてしまう可能性もあるかもしれませんね。修繕後、「あと30年もつ?」と聞かれれば「もちません。」とハッキリ答えられます。もろくなった大谷石の上に新規で重い石を乗せた場合、重量に耐えられなくなって崩れる可能性もあるかもしれません。お孫さんの足に落ちてしまう…というのは考えすぎではないと思います。数年後、後継ぎさんが直さなくてはいけなくなってしまう…。はたしてそれでいいのでしょうか。
また大谷石のお墓が古くなっている場合、歴史もあるおうちだと判断できる場合が結構あります。ですのでカロート内がお骨でいっぱいになっている可能性があります。(カロート内を見れればなお良い、見れない場合は墓誌があれば戒名数から判断)これから亡くなって入る方の人数もちゃんと計算して備えておくことが重要なのです。カロート内がいっぱいであればお骨を適正に土の中に埋葬する、もしくはカロート拡張工事をしなくてはいけなくなります。お墓って表面だ綺麗にすればいいわけではないんです。
お金かかるから大ごとにしないでと言われることがあるのですが…。
墓所確認をする際に大谷石のお墓を見ればすぐに外柵の耐用年数は過ぎていて外柵リフォームの時期が来ていると判断せざるを得ない場合は本当に多いです。
外柵工事にたしかにお金はかかります。ただ、たとえ羽目だけ直してもその下の腰石や根石、またはカロート(納骨室)がボロボロの状態でまた数年後に直すということを考えると余計にお金がかかってしまう場合があります。
あと多いご相談。
大谷石ボロボロだから接着剤で固めて。
ごめんなさい。無理です。やれる方法があるのかもしれませんが、お施主さんにウソもつきたくないし、僕は最善の方法をご提案したいです。
厳しい言い方ですが、その場しのぎでしかない。こういうと必ず言います。「俺の後はどうだっていいんだよ」と。でも、跡継ぎの方のことを真剣に考えてください。お墓関係のトラブルの一番はやはり情報不足。そして時限爆弾のように何年も後に問題が表面化します。なぜ親父はこんな工事したんだとか、石屋さん一緒にいたのに何も言わなかったの?など何十年後に言われることがあります。やはりお墓のことですので自分の頭の中だけではなく、ご家族と一緒に本当にこれでいいのかと話し合いをもたれることをお勧めします。
セメントでの補修は自己責任ではあるのですが、皆さんが使う参道ですので綺麗にしていただければと思うんですよね…。セメントでの補修も一時的。本当にボロボロと崩れてしまうのです。時々鉄板を釘?ビス?で大谷石に打ちつけてあるものも見かけたりします。いやいや…くっつかないし…。
自分より後の世代のことを考えるのであれば、風化が進んだ大谷石の外柵では一部改修工事ではなく全面的リフォームを考えるべき。
余談ですが 大谷石の割れ方って色々あるけど…。何かに似ている。
なんかずっと思い出せそうで出せなかったのですが…さっきひらめきました。うまい棒です。大谷石の割れ方って本当にうまい棒に似ている。縦に割れたときなんてこれそのものです。
わかりづらいか…(笑)ではまた!
この記事を書いた人
- 創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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