久しぶりの更新になってしまいました。昨日の東京は昼間でなんと30度!まぁめちゃめちゃ暑いわけで、蚊もブンブン飛んでいるわけです。
さてさて、そんな練馬のお寺さんでのお墓工事が完了いたしました。
まずはこの写真をご覧ください。
お施主さんのおばあちゃんからお墓が古くなってきたから見てもらいたいということから話は始まりました。
おばあちゃんはシルバーカーを押して移動しているため、大きくコロコロする玉砂利の上は非常にお参りしにくかったんです。また古いお墓も崩れかけているためどうしていいかわからなかったそう。
そんな現状を見ましてからおばあちゃんのお宅へ伺うとおばあちゃんから
あの崩れているお墓は子供のでしょうか?
とのご質問が…。
おばあちゃんは足も悪く、またここの家へ嫁いできて数年前に旦那さんを亡くしておりましてご先祖さんやお墓に関することの引継ぎをされていなかったのだそうです。
僕はこのお墓について
子供のお墓ではなく、江戸時代のお墓ですよ
とご説明させていただきました。
すると、おばあちゃんは目を丸くしましてとてもビックリされているようでした。おばあちゃんは80歳オーバーな落としなのですが、古いといっても明治くらいのかと思っておられたようで、まさか江戸時代のものだとは思ってもみなかったのだそう。
お話をしていくなかで外柵はそのままで、古いお墓をまとめ新規に石塔を作る等の希望を受けましてその日は帰りました。
ご先祖さんよりのメッセージ
数日後、おばあちゃんから電話がかかってきました。
どうされましたか?と聞きましたところ
清水さん 色々と出てきました!!
お家はすぐ近くだったものなので「今から伺っていいですか?」ということで自転車を飛ばしたわけです。
お家にはこのようなものが。
これは屋根や扉のついた位牌の枠の中に戒名・法名を記した長方形の札板を納めるようになっておりまして、この札板が十枚位入りって先祖の位牌をまとめたりするものなんです。
札板だけ十数枚ありまして、位牌本体はなく紙袋に入れられておりました。
おばあちゃんはこの札板をお仏壇の中から発見。旦那さんからも全然伝えられていなかった事実でした。
おばあちゃんのお墓での意向は古いお墓の処分をしてほしいとのことだったのですが僕は旧墓、そしてこの札位牌を見て
ご先祖さんのお戒名を全部彫ってあげましょう
とご提案しました。
よくある彫りかたでは明治より以前を
〇〇家先祖代々之霊位
とまとめて表現しまして、彫刻するケースがあります。
お施主さんからどうしてもと頼まれればこの方式をとるのですが、僕はあまり好きじゃないんです。江戸時代に生きた先祖さんも、明治期の人も、そして今生きている人も同じ人間。血を分けた親族です。一方を彫刻士、一方は省略するということは亡くなった人に差を与えているような気がするんです。
予算等の兼ね合いも当然あります。ですが、可能であれば全員彫ってあげるというのが僕の信条なんです。
それは遺された方々へのご先祖さんからのメッセージのような形になるからです。命が繋がれ、繋がれ今の自分があるということを認識できる場所を作ってあげる。石屋にとってこういうことも重要な使命であると思っています。
リフォーム工事が完成しました
このような流れの中でできた墓誌がこれになります。
しかも色々調べてみると1700年代でお寺さんの住職さんをやっている方や練馬の歴史書に載っているような方もわかりました。失われかけていたご先祖さんを見つけてあげれたような気がしました。
そしてお墓の完成はこのような感じ。
古いお墓というのは直角な敷地ではないところも多々あります。また、今回のリフォームはおばあちゃんの意向で古い外柵を残すことをしたので右奥のみが直角。あとは角度がバラバラという事例でした。
敷石や施工はまぁ苦労をしました。現場で石を丁度よく切りましてバランスを整えていきました。やっぱりPC内での計算は所詮計算にしかすぎず、現実はあまくありませんでしたね…。
デザインのポイントとしては奇をてらったものにするのではなく、旧外柵とのバランスを考えたデザインです。おばあちゃんのシルバーカーでもすんなりお参りに行けるようにフラットな設計です。
敷石のすべり止め加工をしている中に磨きの石で2本のラインを入れてあります。お墓へ目線がすんなりと行くように。そして正面の磨いてある石のラインは斜めに伸びていきご先祖さんのお戒名が書いてある墓誌へ目線がいくように考えました。
敷石の配置の仕方は斜めの敷地の中でも規則正しくすることで全体を締める効果を狙っています。
後日談
おばあちゃんと子供さんの仲はあまり良くない感じを受けておりました。お墓の工事に関しても積極的な賛成ではなかった。でもお墓が完成したあとに子供さんとお会いしましたところ、お墓が完成したことに対してものすごく感謝されました。何度も何度も。
また、おばあちゃんがご先祖さんやお墓に対して真剣に考えていたことに対して気づいた自分がいたらしく、おばあちゃんへの感情にも少し変化があったよう。自分の先祖さんがこんなにもいたことを墓誌を見て確認することで実感もあったんだと思います。
このお墓から新たな家族の会話や色々な関係が改善していったらいいなと個人的には思っております。
おまけ 石の貴婦人
今回石塔に使用した石は愛媛県でとれる大島石といいます。目が細かく、建立後のキレイさから石の貴婦人と呼ばれております。そういえば石の丁場(切り出すところ)へ行ったことあったなと思い写真のデータを見てみますと、2011年の震災の前に行ってました。メチャメチャ寒かったな…。
このような形で採掘されるんです。
それではまた!!
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ウェブショップ⇒深川製磁の骨壺や手元供養の商品を取り扱っています
この記事を書いた人
- 創業明治10年東京都上板橋の石材店清水屋5代目社長の清水健介です。令和元年に5代目就任。学生時代からやってきた納骨回数は2000回を超える。お墓、石のことなら何なりとご相談をいただければと思います!お墓を作ったはいいけど、コケだらけなんか嫌!“また会いに行きたくなるお墓つくり”を提案しています。髪がくるくるしているけどパーマじゃない。これは無料パーマだといいつづけている。全国石製品協同組合 理事、東京都石材業政治連盟 幹事長。
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